保存性が高いことで有名なチョコレート。「いつのまにか賞味期限が過ぎていた」といった経験を持つ方も少なくありません。今回は、賞味期限の過ぎたチョコレートやチョコレート菓子で困っている方に向けて、チョコレートの賞味期限について解説します。
賞味期限とは、食品をおいしく食べられることを保証する期限です。主に、短期間で品質が落ちにくい食品類に対して採用されます。以下は、厚生労働省が定めた「食品衛生法第19条第1項」による賞味期限の定義です。
定められた方法により保存した場合において,期待される全ての品質の保持が十分に可能であると認められる期限を示す年月日をいう。ただし、当該期限を越えた場合であっても,これらの品質が保持されていることがあるものとする。
引用:厚生労働省「食品期限表示に関する一般(消費者)向けの説明資料について」
上記でも記載されたように、賞味期限は一定の間までなら期限を超えても美味しく食べられます。そのため、賞味期限が過ぎたからといってすぐに食品を捨てる必要はありません。
賞味期限が「おいしく食べられる期限」を表すのに対し、消費期限は「安全に食べられる期限」を意味します。主に、生鮮食品や惣菜など日持ちが難しい食品類に対しては、消費期限が採用されます。
上記の内容は「消費期限を過ぎた食品は安全が保証されない」とも捉えられます。消費期限を過ぎた食品を食べる場合は、自己責任と覚えておきましょう。
ここからは、チョコレートの主な種類について解説します。一口にチョコレートといっても、チョコレートとチョコレートを使った加工品とで、保存方法や賞味期限は異なります。まずは、現時点で賞味期限を気にしているチョコレートがどんな種類にあたるのか、把握しましょう。
チョコレートとは、原料のカカオマスにココアバターを配合し、任意で砂糖や乳固形分を加えた食品の総称です。冷やし固めたときの形状や材料の比率によって「板チョコ・チャンクチョコ・クーベルチュール」など、さまざまな名称で呼ばれます。
食品表示においては「カカオ成分が35%以上、またはカカオ成分21%以上かつ乳固形分14%以上のチョコレート生地を全重量の60%以上使った食品」に該当する場合のみ、チョコレートと名乗ることを許されます。一般的にイメージされるチョコレートは、上記のタイプとみてよいでしょう。
チョコレートは賞味期限の長い食品ですが、食品表示上「チョコレート」と記載されているからといって、必ずしも長持ちするとは限りません。
例えば、トリュフチョコは成分の大半をチョコレートが占めますが、なかには生クリームやムースなど腐りやすい食品が使われるタイプもあります。一応、食品表示上は「チョコレート」ですが、早めに食べ切ったほうがよいでしょう。
チョコレートの賞味期限を気にする場合は、チョコレート以外の食品に注目しましょう。
チョコレート加工品とは、チョコレートを使った食品やお菓子のことです。前述した食品表示においては「チョコレート生地が全重量の60%未満の食品」が該当します。基本的に、成分表の名称に「チョコレート」と記載されていないチョコレート食品は、すべてチョコレート加工品とみて問題ありません。
チョコレート加工品の賞味期限は、対象食品の製造方法によって大きく異なります。例えば、市販のチョコチップクッキーや常温で売られているガトーショコラは必ず加熱して作られており、防腐剤や酸化防止剤など保存性を高める添加物も入っています。そのため、チョコレート加工品の中でも比較的賞味期限は長いといえるでしょう。
一方、無添加のチョコレート菓子や要冷蔵のスイーツは、腐りやすい食品が使われているため早めに食べきらないといけません。賞味期限の切れたチョコレート菓子やスイーツ類を食べるときは、状態をよく確かめましょう。
ホワイトチョコとは、主原料にカカオマスを使っていないタイプのチョコレートです。ココアバターと乳固形分を使って作られているため、賞味期限はチョコレートと同等に長持ちします。
ただし、時間の経過とともに香料や乳成分が劣化するため、時間が経ちすぎると食味が落ちるのは避けられないでしょう。
ここからは、チョコレート食品の賞味期限を、市販と手作りの2種類にわけて解説します。チョコレート食品の賞味期限は、すぐ食べないといけないものから、ある程度日数が経っても平気なものまで、食べられる目安が大きく異なります。
もちろん期限内に食べきるのがベストですが、人によっては「先に食べるものがあって賞味期限が切れてしまった」「賞味期限が切れたのを忘れていた」といった事情の方もいることでしょう。食べられる期間の目安として、ぜひ参考にしてください。
市販のチョコレート食品の賞味期限目安は、以下のとおりです。
板チョコ(チャンクチョコ、クーベルチュール含む) | 4カ月〜1年 |
ボンボンショコラ | 1カ月〜9カ月 |
フレーバーチョコレート | 1カ月 |
アーモンドチョコレート | 3カ月〜9カ月 |
トリュフチョコ(常温保存) | 2週間〜2カ月 |
トリュフチョコ(要冷蔵) | 3日〜15日 |
ショコラテリーヌ | 3日〜7日 |
生チョコ | 2週間〜1カ月 |
市販のチョコレートは、保存性を高める添加物が使われる商品が多いため、手作りより賞味期限は長めです。添加物を使っているかで賞味期限が大きく変わるといってもよいでしょう。例えば、ネット販売している冷凍配送のチョコレートスイーツだと、保存料を使っていない可能性があります。
また、乳製品や水分量を多く含むチョコレート食品は、日持ちしません。期限が迫っているなら早めに食べるのをおすすめします。
手作りチョコレートは賞味期限の記載がないため、食べる際は以下の期間を目安にしてください。
種類 | 賞味期限目安 |
板チョコを再加熱して固めたもの | 4日〜5日 |
生チョコ | 2日〜4日 |
トリュフチョコ | 2日〜4日 |
チョコレートケーキ | 4日〜5日 |
ガトーショコラ | 4日〜5日 |
パウンドケーキ | 7日 |
手作りチョコレートは、防腐剤や酸化防止剤など保存料が使われないため、賞味期限は市販チョコレートより短めです。
とくに、生クリーム・ゼラチン・メレンゲなど、劣化の早い食品をチョコレートに入れた場合は早めに食べきりましょう。
ここからは、チョコレートの保存について解説します。一般的に常温で置いておくことが多いチョコレートですが、美味しさを持続させるには適した方法で保存しなければなりません。
保存方法次第で状態や美味しく食べられる期間が変わるため、チョコレートを保存するときは、ぜひ本章を参考にしてください。
チョコレートの最適な保存温度は、15℃〜18℃といわれています。つまり、春先と晩秋の気温がベストです。温度が高いとチョコレートが溶けてしまうため、夏場は冷蔵保存しておくのをおすすめします。適温より少し温度は下がりますが、ワインセラーや野菜室も候補として挙げられます。
また、要冷蔵のチョコレート菓子を保存するときは、できるだけ冷蔵庫の外気に触れないことが大切です。チョコレートはほかの食材の匂いを吸収しやすく、食味が落ちます。ラップで覆う方法は匂い移りを防げないため、ジップロックやアルミホイルで密閉するのがおすすめです。
チョコレートの最大保存期間は、1年程度と見積もっておきましょう。チョコレートは賞味期限が過ぎてもある程度の期間は問題なく食べられますが、期限以降に食べた場合に安全が保証されるわけではありません。
美味しさと状態が保証される意味でも、早めに食べ終えるのをおすすめします。
ここからは、チョコレートの賞味期限について、よくある疑問や不安にお答えします。賞味期限切れのチョコレートが家にある場合や、チョコレートのまとめ買いを考えている方は、ぜひ参考にしてください。
賞味期限は「美味しく食べられる期間」を保証した情報で、チョコレートの場合はある程度の期間までなら食べられるといわれています。ただし、期限を大幅に過ぎたものや保存環境が悪い場合、安全は保証されません。
チョコレートの中には2年以上保存できる銘柄もあるといわれていますが、10年間も保存できるとは限りません。チョコレートの成分は大半が油脂を占め、時間が経つと酸化して状態が悪くなります。劣化した油脂成分は体にとって害なため、たとえ見つけたとしても食べるのは避けたほうがよいでしょう。
チョコレートの冷凍保存は可能です。板チョコやチャンクチョコなど、常温で長く保存できるプレーンのチョコレートには不向きですが、日持ちしないトリュフチョコやショコラテリーヌなら長期保存できます。
ただし、チョコレートや乳製品は外気の匂いを吸収しやすいため、冷凍保存するときは密閉できる袋や容器に入れましょう。
冷凍したチョコレートを解凍した際、白い粉のような物質が表面に付着する「シュガーブルーム」が発生する可能性があります。シュガープルームとは、急激な温度差によってチョコレートの糖分と外気の水分が結合して、結晶化したものです。体に害はありませんがザラザラした舌触りがするため、食味に悪影響を与えます。
チョコレートはおよそ4カ月〜1年程度の賞味期限を持つ食品で、数週間程度過ぎたものなら食べても問題ないでしょう。ただし、チョコレートを18℃以下の環境で保存した場合の話であって、高温多湿な場所や悪い衛生環境下だと安全は保証されません。
また、プレーンのチョコレートではなくチョコレート菓子の場合は、賞味期限ないに食べきるのをおすすめします。とくに、生クリームや卵など腐りやすい食品を使っているものは注意が必要です。
正しい保存方法なら美味しさも長持ちするため、チョコレートを買ったら涼しい場所で保存しましょう。